製材メーカーで国内トップ「伐採して・使って・植えて・育てる」木材産業の循環型経済目指す
中国木材株式会社
製材メーカーで国内トップシェア。木造住宅や大規模木造建築物等の構造材(柱・梁・桁など)を製造・販売し、全国で1年間に建築される木造住宅35万戸中、約4分の1が同社の製品で建っている計算になるという。
事業拠点は、ベイマツを扱う広島本社・茨城鹿島の2拠点と、国産材を扱うのは、年間原木取扱量60万立方㍍と国産材で最大の宮崎日向工場、また2024年1月に稼働開始した秋田県の能代工場と、佐賀・北広島・岐阜・茨城の計6拠点。顧客からの注文には全国10カ所の物流拠点から翌日には発送できる独自の流通網を確立。全国のプレカット工場・建材商社・住宅メーカーなどへ製品を供給する。
主力商品は強度に優れた北米大陸のベイマツ。世界トップクラスの林産会社の米ウェアーハウザー社と直接輸入取引しており、専用の原木運搬船が工場直結の岸壁に接岸し、原木を運び込む一貫体制を敷く。ベイマツ乾燥材「ドライ・ビーム」は、住宅用横架材において、単一商品としては異例の国内シェア20%の高さを誇る。23年8月、鹿島工場の製材棟で火災が発生。この影響でべイマツの製材量は一時通常の約6割まで減少したが、鹿島第2製材の稼働などで、現在は8割までに回復。これを機に供給方針も改め、ドライ・ビームの売れ筋サイズに重点を置く生産体制とした。さらに27年には鹿島第1製材の稼働を予定しており、万全のベイマツ供給体制とする。
国産材の活用を拡大へ
一方、1999年より、伐期を迎えた国産材の活用にも取り組み、国産スギとベイマツを組み合わせた「ハイブリッド・ビーム」を開発し、林野庁長官賞を受賞。軽く強い横架材として、評価が高く、累計販売量162万立方㍍(約46万戸分)を達成した。
製材する過程で出る樹皮・端材・オガ粉を燃料とした木質バイオマス発電にもいち早く着手しており、工場内のエネルギー供給を賄うほか、再生可能エネルギーとして、FIT制度・FIP制度による電力販売を実施。新たなバイオマス設備として、23年は、郷原工場2号機(呉市)、日向工場2号機(宮崎県)が稼働。鹿島工場内でも新規設備が稼働開始しており、合計発電能力は約9万3000㌔㍗、年間の電力売り上げは110億円を見込む。
近年は「伐採して・使って・植えて・育てる」の方針の下、山林取得を推進中で、自社林の面積は23年4月に1万㌶を達成した。同年に苗木生産の長倉樹苗園(宮崎)を子会社化するなど、木材産業の循環型経済に注力。国産材の安定供給体制の構築へ、また、環境保全や社会的貢献に取り組む。
24年には森林由来カーボン・クレジット(森林J―クレジット)創出へ、東亜建設工業とのコラボ事業を実施。熊本の社有山林684㌶の森林管理計画が森林J―クレジット制度に承認された。初創出の内800㌧―CO2を広島銀行へ販売し、25年5月に受渡式を行った。排出権売却代金で、山林の育成状況などを計測するレーザードローンなどの先端技術を導入する計画。奈良県や山口県、広島県の社有林で、森林J―クレジット創出に向けた準備を進めている。
25年5月には、(財)日本次世代企業普及機構から「ホワイト企業認定(シルバーランク)」を受けた。
会社概要
中国木材株式会社
本 社:呉市広多賀谷3-1-1
設 立:1955年1月20日
資 本 金:1億円
売 上 高:1255億円(2025年6月期見込み)
従業員数:2915人(グループ、派遣含む)
事業内容:木材の製材および乾燥材・集成材の製造販売・輸出、プレカット加工、原木および製材製品の直輸入、木質バイオマス発電
T E L:0823-71-7147
U R L:https://www.chugokumokuzai.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。