26年に創業125年の駅弁会社ノウハウ生かし給食・配食事業

広島駅弁当株式会社

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食を通じた地域社会の課題解決に挑戦

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 2026年に創業125周年を迎える。食のファーストコール・フードカンパニーをコンセプトに多角的な食ビジネスを展開。祖業である駅弁事業から、学校や高齢者施設などの給食受託事業、高齢者宅への配食事業なども手掛ける。

のれん継承、文化を守る

 15年に小郡駅弁当(山口県)の廃業を機にレシピを継承。18年には福岡市博多区の老舗駅弁業者「博多寿軒」ののれんを引き継ぎ、子会社「博多寿改良軒」を福岡市に設立。最盛期には400社以上あった全国の駅弁業者は、鉄道の高速化や中・外食産業との競合で現在約80社まで縮小し、廃業も目立つ。地域に根付き、親しまれた駅弁という精神文化であり日本固有の鉄道食文化を途絶えさせてはいけないと、中島和雄社長はその強い覚悟でのれんを継承した。

県内外で配食事業展開

 同社は17年から全国初の民設民営の学校給食センター「広島アグリフードサービス」を広島市佐伯区に稼働。同施設では1日1万食以上を生産でき、同区内の小中学校などに1万3000食を提供する。給食事業外の時間を有効活用し、高齢者施設や病院への食事の製造・供給も行う。食材を地域の契約農家から調達するなど、地産地消・食育事業にも取り組む。このようなビジネスモデルと知見・ノウハウを生かして、県外にも展開。24年に稼働を開始した山口県下関市の「下関アグリフードサービス」では、在宅高齢者向けの配食事業と同市の小中学校22校に1日約7000食学校給食を供給。25年からは福岡空港発着国際便の機内食も手掛ける。
 中島社長は、「超高齢化社会への対応、農業の活性化、持続可能な社会資本の整備、食育など、地域が抱える課題は多くある。これらの課題を〝食〟で解決することが私たちの使命。特に高齢者向けは伸びしろを期待できる事業でもあり、行政との連携の中で今後もさらに力を入れたい」と話す。

社会課題を産業的に解決

 健康長寿社会の実現に向け、18年に総務省のIoTサービス創出支援事業として市や県、広島大学病院、企業と連携し、高齢者の栄養改善・虚弱予防支援を目的とするモデル事業を受託。広島大学病院と共同開発した新メニューを高齢者施設の入居者や在宅高齢者などに提供し、多くの高齢者の栄養状態を改善した。この実績を基に、20年度からは広島大学未病・予防医科学共創研究所と共同研究契約を締結。医学的・栄養学的なアプローチからフレイル(虚弱)や生活習慣病の予防・改善を実現する機能性ブランド「明日の食卓」を立ち上げ、21年に発売。在宅高齢者向けの配食や高齢者施設向けのキット食を中心に商品を提供している。

食と地域社会の未来築く

 中島社長は、「全従業員が食を通じて地域社会に成すべき企業の使命を胸に刻み、顧客価値の飽くなき追求のためにたゆむことなく行動する。社会が抱える課題を産業的に解決すること、そこで働く従業員が仕事にやりがいを持てる状態になることが、名実ともに地域に必要とされる企業になると定義している。創業125年の伝統を強みとし、革新への挑戦を続け、顧客価値を追求する」と語る。



会社概要

広島駅弁当株式会社
本  社:広島市東区矢賀5-1-2
設  立:1901年4月
資 本 金:9250万円
売 上 高:50億円(2025年3月期)
     グループ3社の売上高は83.5億円
従業員数:グループ1096人(パート、アルバイト含む)
事業内容:弁当・総菜の販売製造 生活支援サービス
T E L:082-286-4339
U R L:https://ekibento.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。