提案型営業に徹し卸機能強化業務用開拓で成長戦略を推進

中村角株式会社

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安全・安心と地方の食文化を提供


 総合食品卸の地場大手。地域に密着した提案型営業を粘り強く進め、拡大路線にまい進する。流通業界はコスト増や人手不足、物流関連などの課題が山積するが、地域性とソリューションに着眼した品ぞろえと卸機能を拡充。全国大手と同じ土俵で存在価値を発揮し、選ばれ続ける地域卸を目指す。

業務用てこに成長へ

 経営の柱に掲げる提案型営業とローコストオペレーションを徹底し、2025年3月期も増収増益を果たした。14期連続増収で、前期比4・5%増の売上高336億1820万円を計上。業務用冷凍をはじめ塩干・冷凍魚介、チルド、ドライの各部門とも全般に伸びた。
 量販店中心の家庭用が主力だが、業務用をてこに成長戦略を推進。省力化など課題解決に役立つ卸機能を強化し、飲食店向けをはじめ給食や医療・高齢者施設、中食(総菜)など小口取引、多頻度対応が求められる市場を開拓。現在、50%弱の扱いを60%に増やし、目標売上高400億円のうち250億円に引き上げる。
 中村社長が会長を務める日本外食流通サービス協会(JFSA)の全メーカー一括配送システムで配送業務の効率化を図り、PB商品を小ロットで調達する仕組みも整備。参画メーカーも増え、業務用仕入れ機能の強化とともに小規模メーカーの商品も全国流通が期待される。

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地域の食文化を絶やさない

 海産乾物卸で創業。国内有数の水産加工品の情報量、営業力が強みだ。産地の旬や収穫量を把握、タイムリーで最適な商品を提案~供給。全国各地に息づく食文化を支える生産者の多くは中・小規模が多い。特に水産加工品は多品種少量で温度管理が難しいが、長年培ったネットワークと目利き力で流通に乗せていく。中村社長は、「量産が難しい地域の商品は待っていても仕入れは難しく、こちらから出向いて探し出す。小さな商いかもしれないが、地域の食文化が持つ魅力と価値を掘り起こしていきたい。喜ばれる商いこそ、やりがいと誇りを生む」とし、売れ筋を発掘し、育てていく。
 一方で、オリジナル商品の開発を継続。ヒット商品「ぶちうまい焼そば」や「広島おでん」、「お好みソースいか天」、「瀬戸内産小いわしのオイルサーディン」などに続き、定評のある食品メーカーと組んで取扱部門ごとに商品化を目指す。価格競争に巻き込まれない品ぞろえを拡充する。

働きやすい職場環境

 得意の低温食品は温度帯環境を整え、賞味期限の高精度管理にWMS(倉庫管理システム)を導入。24年秋には自動仕分け装置も稼働した。品質強化と同時に、生産性や業務効率を高めた。受発注のスマホ活用や業務推進体制の省力・省人化へデジタル化を進めており、働きやすい環境整備につなげている。
 25年4月から年間休日を大幅に増やし、120日とした。残業を減らす社内機運も高めている。産休や育休の取得率も上がり、時短勤務は「働きやすい」と好評だ。営業を後方支援する営業企画部は女性も多く、半数以上が管理栄養士の資格者でメニュー提案やレシピ開発、情報発信に活躍。出産後復帰するケースもあり、安心して働ける環境が能力や可能性を引き出している。
 創業来、〝基本を大切に 継続は力なり〟を掲げ、堅実経営を継承。時代が変化しようと食への飽くなき興味と関心が中村角の原動力だ。



会社概要

中村角株式会社
本  社:広島市西区草津港1-3-3
設  立:1948年11月
資 本 金:1億円
売 上 高:336億1800万円(2025年3月期)
従業員数:197人
事業内容:総合食品卸
T E L:082-501-2000
U R L:http://www.nakamurakaku.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。