食品パッケージ卸で地場最大手食文化の発展と環境問題に注力
株式会社シンギ
社会に必要とされ続ける100年企業へ
食品パッケージを扱い全国に15営業所と4つの物流センターを持つ地場最大手。素材・形状・デザインの異なる20万種類の中から最適な容器を提案し、豊かな食生活や食品流通を支える。全国の駅弁事業者や興行施設などに商品を卸しており、業界内での知名度も高い。
メーカーとして創業。一時期は商社色が強かったが、今は再びメーカー機能が大きくなりつつある。仕入れて売るだけではなく、社内デザイナーが連携し、オリジナルパッケージの企画から手掛けることも多い。2024年には仙台支店を拡張移転。東北エリアの物流拠点としても活用し、商品の安定供給につなげている。ニーズが多様化する中、豊富な専門知識と提案力が求められ、社員の能力向上にも注力。民間資格の包装管理士の取得などを推奨し、提案力の向上につなげている。
環境配慮への取り組み
近年は海洋ごみ問題やプラスチック資源循環促進法を受け、エコな商材の開発に注力。サトウキビの搾りカス「バガス」が原料の包装容器など品ぞろえを充実させる。22年発売のバガスモールド製お好み焼き持ち帰り容器「ひろまるバガス」は、機能性やデザイン性が高く評価され、第18回ひろしまグッドデザイン賞で優秀賞を受けた。25年2月には同素材を使う国内初のたこ焼き用容器を県内大手スーパー系の飲食店と共同開発。今後は一般店やイベント関係の事業者などにも訴求していく。
また2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)では生分解性プラスチックを食品廃棄物と一緒に堆肥化する事業に参画。事前実験で実用性を確認し、会場内のフードトラックエリアで使用されるドリンクカップを同社が提供している。
凍結機などを海外展開目指す
21年から始めた機械事業では素材の味や食感を保てる急速凍結機「プロトン」の販売や、プラスチック使用量を大幅に減らせる独自開発の卓上小型シュリンク包装機「シュリンテックエコ」の拡販に注力。主力のパッケージ商品と合わせて訴求するべく、24年以降は米国、台湾、ベトナムといった海外の展示会に積極的に参加しているほか、さらなる販路拡大のために海外拠点の設置も検討している。
働きがい向上に注力
パート含む全従業員向けのがん保険制度に加え、定期的なストレスチェックの実施や定時退社の推奨など、従業員の健康改善につながる福利厚生を中心に働きやすい環境の整備を進めている。理念を浸透させるための現場業務の改善活動「シンギらしくグランプリ」を企画。全従業員が39チームに分かれて経営理念を自分事に落とし込み、チームで協力しながら取り組む。活動を通じて仲間との連帯感や組織への信頼度、モチベーションの向上などにつながった。田中社長は、「創業者が『商業道徳の基本は信義である』という理想を掲げ設立。売上や利益も成長には必要ですが、それ以前に、仕事をしていくうえで正しい行いに徹し、お客様や取引先、社会との信頼関係を築くことが大切です。全社員が仕事を通じて心の豊かさを持ち、社会から必要とされる100年企業を目指して挑戦し続けます」と話す。
会社概要
株式会社シンギ
本 社:広島市中区南吉島2-1-24
設 立:1952年(創業1932年)
資 本 金:3億1000万円
売 上 高:235億円(2025年5月期)
従業員数:226人(2025年5月時点)
事業内容:食品パッケージの企画・製造・販売
T E L:082-241-5194
U R L:https://www.shingi.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。