穀物加工技術で食を支える世界トップメーカー
株式会社サタケ
大規模農家向けIoTサービス始動
サタケの歴史は1896年に初代社長の佐竹利市氏が、日本初の動力式精米機を考案したことに始まる。1908年には吟醸酒誕生につながる「41年式第2佐竹精穀機」を開発。東広島の酒文化の発展に大きく寄与した。以来、経営を二代・利彦、三代・覚、四代・利子と引き継ぎ、2021年からは松本和久を中心とする新体制へ。常に時代の要請に応え、多数の先進的な製品を開発し、世界トップメーカーの地位を確立してきた。
人類の3大主食の「米」、「麦」、「とうもろこし」を中心に、穀物全般に関わる加工機械や食品の製造・販売を得意としている。積み上げてきた米の加工技術を核に、穀物乾燥調製施設や精米プラントなど、収穫から調製加工、精米、炊飯までの全工程で使う機械・設備を製造し、国内ほか世界約150カ国に供給する。
世界の食文化に貢献
25年度の経営方針に「新しい価値創出によりお米を中心に世界の全ての人々の食文化に貢献する」を掲げた。国内で就農人口やコメ消費量の減少が続く中、顕在・潜在ニーズに適合した製品やプラントのタイムリーな提案に注力。具体的には生産コストの削減や高品質・高価値化による顧客の利益創出などに取り組んでいる。一方、海外市場は拡大余地があり、特にアジアを中心としたコメの産地で、それぞれの国に適合した新製品の開発やサービス展開を推進。そのための組織・体制づくりをすでに整えており、より積極的な海外推進を図る。「売り手、買い手、世間、作り手、地球、未来」の六方よし経営を軸に、従業員と顧客、協力企業の幸福を追求する。
新たな取り組み
25年4月に大規模農家向け生産支援システム「KOMECT(コメクト)」を発表した。乾燥機や光選別機などから得た稼働データを活用し、農地ごとの米の収穫量や品質を自動で集計。これまで農家の経験に頼っていた栽培改善を標準化し、翌年以降の農場管理計画に活かせる。特に大規模農家や農業法人のDX化に向け、30年までに全国で1100件の導入を目指す。
コメの選別技術はプラスチックや金属、種子、ペットフード、菓子などさまざまな業界に転用できる。サタケアメリカではピーナツやアーモンド、ピスタチオの選別に適した光選別機「バンテージ」や「エボリューション」、X線とAIを組み合わせてより高精度な選別を可能にした「ベルトゥーザ スペクトラ」が好評だ。アジアではコメの大処理選別機の引き合いが多いという。
業界唯一の「炊飯工場向け加圧式IH炊飯機」のブランド名を「SILK」と命名。従来は電気よりもガスで炊いた方がおいしいとされてきたが、SILKは技術改良を重ねることで、おいしさと作業環境の改善(室温上昇を抑制)、二酸化炭素の削減などを実現した。すでに大手コンビニエンスストアや炊飯工場を有するベンダーに導入実績があり、国内外で訴求に注力している。
18年度に実用化した最先端の精米技術「真吟精米」も注目を集めている。雑味の原因とされる米の表面付近に多く含まれるタンパク質を効率的に取り除くことができるため、導入する酒蔵が増加。真吟が日本酒の全国ブランドになる努力を続ける。
会社概要
株式会社サタケ
本 社:東広島市西条西本町2-30
設 立:1939年12月(創業1896年3月)
資 本 金:2億8000万円
売 上 高:669億円(2024年2月期・グループ連結)
従業員数:3000人(グループ計)
事業内容:食品産業総合機械、プラント設備および食品の製造販売
T E L:082-420-0001(大代表)
U R L:https://www.satake-japan.co.jp
※2025年9月当時の情報です。