地域に根差すグローバル企業業界に先駆け、次世代型船舶に注力

常石造船株式会社

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徹底的にひと重視


 海運や商社・エネルギー、環境、ライフ&リゾートなど、国内22社、海外20社の連結対象を持つ常石グループの中核企業。1917年の創業以来、安全で高品質な船舶を提供することで世界経済の発展に貢献してきた。国内外のグループ会社が協力し、質の高いサービスを実現。地域に根差すグローバル企業として、2024年からはマツダ スタジアムやエディオンピースウイング広島、広島サンプラザホールなどに看板広告を掲げる。また25年からは広島県出身でカヌースラローム競技の岡﨑遥海選手とスポンサー契約するなど地元スポーツを応援している。

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技術力で業界をリード

 新時代を切り開くグリーンテクノロジーとDX。同社は業界に先駆けて次世代型へ転換を進める。23年6月には、全ての建造船を35年までに脱炭素燃料も使える二元燃料船にすると発表。グリーンメタノール燃料船の研究にいち早く着手し、25年5月に世界初のメタノール二元燃料ウルトラマックスを竣工するなど国内外の工場で建造を始めた。
 デジタル化による性能改善にも着手。設計から生産まで3DCADを活用し、高度な流体解析などで顧客生涯価値の維持・向上に取り組む。PC内のソフトウエアロボットで事務作業を代行するロボティック・プロセス・オートメーションを21年に本格導入したほか、人事システムと連携した顔認証勤怠管理を導入するなど、業務効率化にも力を入れる。

グローバルな建造体制

 ばら積み貨物船を主軸に、コンテナ運搬船やタンカーなど多様な市場ニーズに対応。中でも400隻の竣工を達成した載貨重量8万2000㌧級のばら積み貨物船「カムサマックス」は、同社の登録商標が業界標準の呼称になるほど認知され、同カテゴリーで世界トップシェアを誇る。コストや為替変動への耐性という競争力のカギを握るのは、国内外の拠点で同一品質の船を提供するグローバルな建造体制だ。1990年代にフィリピンに進出。業界では成功例のなかった海外での建造環境を整備し、その後の中国進出の礎を構築した。2024年の建造数は常石工場6隻、フィリピン工場17隻、中国工場19隻で海外が8割を占める。また24年には東ティモールに船舶設計を行う会社を設立。海外に拠点を持つ国内造船会社は極めて少ないが、同社は国内人口が減る中で労働力を確保し、さらなる成長につなげたいとする。

徹底的にひと重視

 小さな町での木造船建造から始まった同社が世界中で事業を営むまでに成長できた背景には「常に人を大切にする」という創業当初からの理念がある。年間休日121日を確保するなど、業界に先んじて働き方改革に着手。また新卒初任給を24年比19%引き上げ28 万円とした。さらに若手社員が有休、育休を取りやすい環境づくりのため、管理職も積極的に休むよう心掛けている。24年の有休取得率は81・4%、育休からの復帰率は100%で、ともに全国平均より高い数値を維持。階層別の研修制度や自己啓発支援のほか、ラウンジやテラス、トレーニングルーム付きの独身寮、社宅も設け、社員の幸せのために働きやすさと働きがいの両輪を追求している。



会社概要

常石造船株式会社
本  社:福山市沼隈町常石1083番地
設  立:2011年1月(創業:1917年7月)
資 本 金:1億円
売 上 高:2748億円(2024年12月期・連結)
従業員数:901人(2025年・常石造船単体)
事業内容:船舶の建造・修繕
T E L:084-987-1101
U R L:https://www.tsuneishi.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。