業務用洗濯機の国内トップメーカー2029年に売上高100億円へ
株式会社山本製作所
世界の“洗う文化”をつくる
業務用洗濯機やコインランドリー用機器、リネン業界向けロールアイロナーなどの製造・販売を手掛ける機械メーカー。業務用洗濯機で国内トップクラスの生産台数を誇り、乾燥機部門では生産台数ベースで約50%のシェアを維持している。2024年12月期は海外販売がけん引し、前年比11%増の過去最高となる売上約60億円を超えた。今後も東南アジアをはじめ、ヨーロッパやオセアニアを開拓。海外売上高を伸ばし、29年に同100億円を目指す。
創業は1947年。「真似るより真似られるようなマシンを創る」という信念で独自の技術を開発してきた。ほぼ全ての加工部品を自社生産し、競争力の源泉とされる内製化率は98%。他社に依存しない生産体制を築くことで、滞りのない半永久的な部品供給と価格競争を実現。顧客が安心して長い期間、製品を使用できる「フォー・エバー・マシン」という独自の価値を提供する。
ランドリー開発最先端
2017年にスマートフォンと連携できる業界初のランドリー機「スマートランドリー」を開発。専用アプリを使って空き状況確認や機器の扉の施開錠、キャッシュレス決済、領収書発行などに対応する。洗濯の終了通知のほか、利用回数に応じてポイントが付く仕組みも整え、顧客利便性を飛躍的に向上させた。IoT技術の活用は、ランドリー経営者にも大きなメリットがある。不特定多数だった顧客層や稼働状況の分析、アプリを通じたセール情報発信など、これまで難しかったマーケティング活動を可能にした。
23年には気象データに基づくコインランドリーのAI需要予測機能を業界で初めて開発。天気や連続降水日数、黄砂の影響などを分析し、相関性の高い要素をアルゴリズムに採用。需要予測に応じた価格変動(ダイナミックプライシング)が可能になり、平均稼働率の向上が期待されている。さらに、アプリ内で決済できる「スマランプリカ」を開発。顧客の囲い込みや、ランドリー経営者のキャッシュフローの改善にもつながるという。
世界のトップメーカーへ
現在、同社製品は24カ国で使用されており、洗濯機・乾燥機メーカーとして日本で唯一、北米のUL規格認証を取得。米国では12年に現地法人を設立し、米国向け乾燥機付き洗濯機を開発。25年春にはホテルや医療施設向けに発売し、米国での売上高は倍増している。また、ヨーロッパやシンガポール、香港、インドなどへの代理店展開も進み、5年以内に海外売上高比率を現在の約30%から50%に引き上げる方針だ。
企業規模の拡大に伴い、本社工場に次ぐ第二の生産拠点「山波工場」の整備に取り組むなか、新たに海外向け乾燥機の新工場「新山波工場」の開設に着手。板金から塗装までの一貫体制を構築し、トヨタ生産方式を活用した効率的な生産を行う。さらに、同敷地内では新塗装工場を稼働しており、下地処理から仕上げまでを完全自動化した。
環境配慮にも注力し、23年には尾道市沿岸域のブルーカーボンクレジットを購入し、干潟・藻場の保全活動に貢献。こうした取り組みが評価され、中小企業庁の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出され、「海外展開」部門で最優秀企業に選ばれた。
会社概要
株式会社山本製作所
本 社:尾道市長者原1-220-19
設 立:1956年7月(創業1947年4月)
資 本 金:1億円
売 上 高:61億4097万円(2024年12月期)
従業員数:220人(2024年12月現在)
事業内容:業務用洗濯機全般の製造と販売
T E L:0848-48-5300
U R L:https://www.onomichi-yamamoto.co.jp
※2025年9月当時の情報です。