〝感動のセキュリティー〟提供健康経営で全国屈指の成果

働きやすい環境づくり、処遇改善続ける

　商業施設の駐車場内で交通事故や渋滞を防ぐ「交通誘導」や、施設の安心・安全を守る「施設警備」など、警備全般を担う。警備の仕事を「サービス業」と位置付け〝笑顔あふれる警備〟の提供に努める。警備員は現在約250人が在籍し、県内に約360ある同業者の中でトップ10に入る規模に成長した。営業エリアを四国、関西、関東へと広げ、着実な成長を遂げている。田中敏也社長は、「目指すのは『警備業界のディズニーランド』。警備員が厳しい表情ではお客さまが緊張します。ディズニーランドのキャストのように笑顔で迎え、礼儀やおもてなしによって『感動レベル』の満足度を追求します。だからこそ人を育てることが何よりも大切。志高く業界の先頭に立ち、会社そして業界全体を良くしようという思いを社員と共有しています」
　2021年に大阪事務所を開設。翌22年には業務拡大に伴い、姫路市の事務所を営業所に昇格させた。24年には採用強化を目的に、安佐南区西原に事務所を新設。25年には100％出資子会社のエルシス・セキュリティー（本社同所）が埼玉県に営業所を開き、グループとして初めて関東エリアに進出した。
　田中社長は広島県警備業協会の副会長と広島県警備業協同組合の理事長を務め、自社にとどまらず業界全体のイメージ向上に取り組む。

健康経営で全国トップクラス

　社員の働きやすい環境づくりに向け、近年特に力を入れるのが「健康経営」だ。生活習慣予防検診の受診率100％の継続、禁煙対策、ワークライフバランス支援のための短時間労働勤務制度の導入など、矢継ぎ早に手を打つ。また夏場の猛烈な暑さに対応するために、先進的な熱中症対策を展開。幹部社員が各現場を巡察し、水分や塩タブレットの配布と共に、対面で睡眠時間、朝食の有無、体調などを直接聞き取り、リスクがある場合は直ちに改善指導を行う。
　こういった細かな取り組みが評価されて、国内の全中小企業の上位500社に当たる「健康経営優良法人・中小規模法人部門（ブライト500）」に4年連続で選出。県内ではわずか15法人の1社に入った。警備業界では全国1万社の中の9社で、中四国地区で唯一という快挙だ。また公開データから、全国の全業種の中で上位62位以内だと判明した。「2007年に社員が熱中症で救急搬送されたことがある。元自衛官の屈強な男性で、年齢や性別にかかわらず全社員にリスクがあると痛感した。対策を充実させ、以降は熱中症重傷者を出していない。『従業員の安全は会社が命懸けで守る』と心に誓っている。社員を大切にし、お客さま視点に立った警備に徹していく」
　障害者採用にも取り組む。社員の5・6％に当たる14人が在籍。社内に仕事や生活を支える専門相談員を置くほか、警備先の企業と掛け合い座って働けるようにするなど、それぞれに配慮する。24年2月には厚生労働省の「もにす認定」に選ばれた。

新卒採用を先駆けて実施

　優秀な人材を一から育て上げようと、12年から業界に先駆けて新卒採用を開始。以降、14年連続で新卒社員を受け入れている。独自の福利厚生も特長の一つ。子どもが増えるほど増額する手当（最大で子ども3人家庭に月6万円）など、子育て世代に配慮した職場づくりを進める。

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