路面電車の駅前大橋ルートが開業中心部とのアクセス向上、街を活性化
広島電鉄株式会社
まちづくりや不動産事業も積極展開
広島駅の新駅ビル2階に乗り入れる駅前大橋ルート(路面電車)が2025年8月に開業し、新駅ビルと相まって広島の玄関口の魅力がますます高まった。JRとの乗り換えに伴う移動距離は従来よりも62㍍(1分強)短くなったほか、駅南口と市中心部を直結し、市中心部へのアクセス時間は約4分短縮された。26年春の開業を予定する循環ルートと併せて移動が一層便利になり、街の活性化が期待されている。
2025年は被爆から80年の節目。1945年8月6日の原爆投下で街が壊滅し、路面電車も動かなくなった。しかし、わずか3日後に、多くの人々の尽力の下で再び電車を走らせた。広島にとって、なくてはならない公共交通として、今日まで市民の生活を支えている。被爆80年という特別な一年に駅前大橋ルートの開業を迎え、広島の新たな歩みや未来を描いていく。
新乗車券システムで外出を促す
少子高齢化、人口減少は交通事業者にとっても逆風だ。しかし、同社はキャンペーンや割引などを実施しやすいMOBIRY DAYSを活用し、施設との連携イベントや沿線プロジェクトなど、外出したくなるきっかけづくりに注力していく。根底にあるのは、「広島のワクワクを創造する」というパーパス(旗印)だ。
MOBIRY DAYS利用者が電車の全車両の全扉から降車できる仕組みや車内での現金チャージなど、利便性向上にも取り組む。MOBIRY DAYS読み取り機で、ICOCAやSuicaなどの全国相互利用が可能な交通系ICカードを使った決済対応も早期に実現させる方針。また、バス事業ではエキまちループ、EVバスの導入や均一運賃などで利用しやすい環境の整備を進めている。
幅広い領域で生活を支える
このほか不動産や建設、流通、レジャー・サービス業など幅広い領域で県民の生活を支えている。出歩いて楽しい街の魅力向上は、公共交通の利用に結びつく。このため同社は、まちづくり分野にも積極的だ。例えば新サッカースタジアム隣接の中央公園広場エリア「ヒロパ」の整備に携わり、新たなにぎわいを生んだ。
不動産事業では24年12月完成の分譲マンション「アンヴェール己斐本町」(西区)をはじめ、25年11月の「ザ・広島フロント」(南区)と相次ぎ供給する。また、36年度をめどにアストラムライン延伸が計画される西広島駅の南口西地区市街地再開発事業の特定業務代行者として、大林組を代表とする共同企業体にグループ会社の広電建設が加わっている。地上45階地下1階建て約450戸のマンション、7階建てと地上5階地下1階建ての商業ビル計2棟、3階建て市営駐輪場、広場、バスベイなどを整備する。27年度の着工と33年度の全体竣工を目指す。
レジャー分野では24年4月のインドアゴルフスタジオ「広電ゴルフinDOORS」の開業に続き、25年3月には練習場「広電ゴルフ」をリニューアルし、より便利で快適なゴルフ練習環境を提供している。
働きやすい環境整備
安全安心な公共交通を維持していくためにも、従業員が働きやすい仕組みづくりに力を入れている。遠隔点呼システムの導入や独自の勤務編成支援システムの開発、電話案内業務の集約など、DXを推進。運行管理の高度化・効率化を図りながらサービス向上につなげている。
会社概要
広島電鉄株式会社
本 社:広島市中区東千田町2-9-29
設 立:1942年4月
資 本 金:23億3562万円
売 上 高:337億900万円(2025年3月期連結)
従業員数:1605人(2025年3月末現在)
事業内容:鉄・軌道、バス、不動産、流通、建設、レジャー・サービス業などをグループで手掛ける
T E L::0570-550700(ひろでんコールセンター)
U R L:https://www.hiroden.co.jp/
※2025年9月当時の情報です。